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「悲しみを乗り越えて」
夕刻に、一組の父子が訪ねて来られました。15年前にこの高原教会で挙式をされた方とそのお子様(T君)です。小学生のT君は、今日はおみやげにお家で採れたホウレン草を一束と、お芋を一本持ってきてくれました。毎年、結婚記念日は必ず、またそれ以外でも度々こうして訪ねて来られるこの父子にも、15年の間には悲しく辛い大きな出来事がありました。

これまでに、2年間ほどお顔を見ない年があり心配をしていた事がありました。T君が小学校に入学する前日、奥様が突然亡くなられたのでした。あまりに突然の事に、父子とも長い間立ち直れなかったそうです。再び訪ねて来て下さるようになって、私も初めてお聞きした事でした。まだ奥様がお元気だった頃、ご夫婦にとっては「この高原教会で結婚式を挙げたこと、そして記念日にはこうして帰れる場所がある事」が心の支えになっていたそうです。最愛の奥様を亡くされ、まだまだ甘えていたかった大好きなお母様を亡くされ、父子にとってその悲しみはとても言い尽くせないものであったろうと、お察し致します。

小柄なT君は、以前は恥ずかしがってお父様の傍を離れませんでしたが、次第に自分からお話もするようになり、最近では近況を知らせる手紙も届くようになりました。薄紙を一枚ずつ剥がすような感覚ではありますが、父子が少しずつ悲しみから立ち直っていらっしゃるのが感じ取れます。どうかこれからもこの高原教会に来られる事で、ご家族3人はいつも一緒だと感じて欲しい、そして逞しく生きて欲しい、と心から願うばかりです。


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